トレッドミルでのランニング効果
ランニングフォーム
地面を走るのとトレッドミルを走るのを比べた時にランニングフォームにそこまで大きな違いはないことが報告されています1。
強いて言うならば、着地した時の足関節の左右への傾き、着地した時の膝の角度、重心位置、前方への加速、地面との接地時間などが少し違ってくるようです。
つまり、トレッドミルを走る時のランニングフォームは地面と走っている時にかなり似ているんだけれども、何かが違う気がするという感覚に近いのではないでしょうか。
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トレーニング負荷
トレッドミルでは少し走りにくくなるため、トレーニング効果が落ちる可能性があります。
遅いスピードでは心拍数や主観的な疲労度はトレッドミルの方が低いけれど、早めのスピードになると心拍数や主観的な疲労度はトレッドミルの方が高いことが報告されています2。
そして、トレッドミルの方が持久走を全力で走った時のタイムやパフォーマンスが低下しやすいため、ガッツリとポイント練習をやりたい時にはトレッドミルで走ると多少なりとも効果が落ちる可能性があることは否めません。
衝撃吸収
トレッドミルを走る時にはランニングの着地時の衝撃吸収が大きいため、地面からの力をうまく使えずに走りにくいという面があります。
特にクッションシューズでトレッドミルを走るとエネルギー消費量も増えることがあり、ランニングエコノミーが悪くなりやすいことが報告されています3。
一方でトレッドミルは衝撃吸収に優れているということは、ランニングの着地衝撃を減らすことで怪我をしにくくなるというメリットもあります。
実際にトレッドミルの衝撃吸収はアスファルトや陸上競技場のトラックよりも優れていることが報告されています4。
しかし、分厚いクッションシューズでトレッドミルを走るなど、シューズとの組み合わせ次第では足元が柔らかすぎて走りが不安定になり、かえって痛みが出てしまう可能性もあります。
快適に走れるようなシューズやトレッドミルの選択が大事になってくるかと思います。
トレッドミルのメリット
夏場のトレーニングが快適
トレッドミルで走るメリットのひとつが夏場のトレーニングを快適に行えることです。
近年の猛暑は激しさを増してきており、夏場に外で練習すると体力を消耗しすぎてしまい、頑張りすぎるとオーバートレーニングにつながる可能性があります。
クーラーの効いた室内でトレッドミルを走ることで、猛暑によるダメージの蓄積を回避しながらトレーニングを続けることができます。
そして、世界トップクラスの選手の中には夏場にトレッドミルを走っているという選手もいます。
例えば東京オリンピック1500mの金メダリストであり、パリオリンピック5000mの金メダリストを獲得した選手が夏場にトレッドミルを取り入れているという話があります。
本人のインスタグラムにてトレッドミルを走っている様子が投稿されています。
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このように猛暑の時期のランニングがキツい場合にはトレッドミルを試してみる価値はあるかもしれません。
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悪天候でもランニングができる
トレッドミルは猛暑だけでなく、大雨や台風、雷などの悪天候でもランニングができるというのがメリットです。
ランニングは継続することが大切ですからね。
トレッドミルのデメリット
感覚が違う
地面の上を走るのとトレッドミルを走るのとでは、どうしても微妙な感覚の違いというものがあり、それが好きになれないランナーもいるかと思います。
やはりアスファルトや陸上競技場でのタイムを求める場合には、トレッドミルではなく地面を走った方が本番に近い環境であるため、より実践的な練習になると言えるでしょう。
退屈になりやすい
トレッドミルのデメリットとして、やはり走っていて退屈になりやすいというものがあります。
室内の景色が変わらない同じ場所をトレッドミルで走り続けるというのは苦痛になりやすく、トレッドミルだとランニングが続けられないという人も多いのではないでしょうか。
やはり、ランニングは続けないと進歩しないので、続けやすい形で取り入れるというのはとても重要な要素であるかと思います。
まとめ
トレッドミルでのランニングフォームは地面を走る時とそこまで大きな違いはありませんが、トレッドミルは地面と比べて柔らかいためランニングエコノミーが悪くなることがありますが、着地衝撃を和らげることができます。
また、トレッドミルでのランニングは猛暑などの悪天候でもトレーニングがしやすいという利点もありますが、退屈してしまうというデメリットなどもあります。
<参考文献>
- Van Hooren B, Fuller JT, Buckley JD, Miller JR, Sewell K, Rao G, Barton C, Bishop C, Willy RW. Is Motorized Treadmill Running Biomechanically Comparable to Overground Running? A Systematic Review and Meta-Analysis of Cross-Over Studies. Sports Med. 2020 Apr;50(4):785-813. doi: 10.1007/s40279-019-01237-z. PMID: 31802395; PMCID: PMC7069922.
- Miller JR, Van Hooren B, Bishop C, Buckley JD, Willy RW, Fuller JT. A Systematic Review and Meta-Analysis of Crossover Studies Comparing Physiological, Perceptual and Performance Measures Between Treadmill and Overground Running. Sports Med. 2019 May;49(5):763-782. doi: 10.1007/s40279-019-01087-9. PMID: 30847825.
- Shi H, Li H, Liu H, Yu B. Effects of treadmill cushion and running speed on plantar force and metabolic energy consumption in running. Gait Posture. 2019 Mar;69:79-84. doi: 10.1016/j.gaitpost.2019.01.024. Epub 2019 Jan 16. PMID: 30682642.
- Colino E, Garcia-Unanue J, Gallardo L, Foster C, Lucia A, Felipe JL. Mechanical Properties of Treadmill Surfaces and Their Effects on Endurance Running. Int J Sports Physiol Perform. 2020 May 1;15(5):685-689. doi: 10.1123/ijspp.2019-0539. PMID: 32000139.