足底筋膜炎とは?
足底筋膜炎は足の裏にある筋膜が炎症を起こす状態で、朝起きたときやランニング時などに痛みを感じることがあります。
足底筋膜炎の回復期間は症状によって異なりますが、数週間から数ヶ月かかることが多いと言われています。
足底筋膜炎は主に繰り返しのランニングによって引き起こされますが、それ以外にも様々なリスク要因が影響しています。
足底筋膜炎の原因
不適切なシューズ
足底筋膜炎はランニング時の繰り返しの着地衝撃が関連しているため、シューズの選択が大きな影響を及ぼします。
実際に足底筋膜炎を抱えている人はクッション性の弱いシューズなど、足底筋膜炎を防ぐのに不適切なシューズを履いている傾向にあることが報告されています1。
ランニングフォーム(重心)
足底筋膜炎はランニングの着地時の衝撃が関わっていて、どこに重心があるか次第でその負荷が変わってきます。
特に踵重心の場合には衝撃が踵に負荷が集中しやすいため足底筋膜炎のリスクがあると言えますし、かといってつま先重心(フォアフット)に偏りすぎると足底筋膜が引っ張られやすくなるという別の負荷が生み出されてしまいます。
このため足裏全体に上手く重心を分散するような走り方が好ましいと言え、どこかに重心が偏ってしまうと足底筋膜炎につながりやすいと言えます。
柔軟性の不足
足底筋膜炎を持っている人達はふくらはぎの筋肉などが硬く、足首の柔軟性が低下していたことが報告されています2。
特にふくらはぎのストレッチ時の可動域や足の指の可動域などが足底筋膜炎との関係性が強いと言われています。
足の指の筋力不足
足底筋膜炎を持っている人達の足の指の筋力は低下している傾向にあることが報告されています3。
足の指の筋力が強いことでランニングの着地時などに足底筋膜が引き伸ばされるのを防ぐことができ、負荷を和らげることができると考えられています。
足底筋膜の強度不足
足底筋膜炎を抱えている人達は足底筋膜の弾力性が低い傾向にあることが報告されています4。
これは足底筋膜の強度が弱く、ランニングの着地時により大きな負荷がかかりやすい状態であることが言えます。
普段から高強度トレーニングなどを行っていないと足底筋膜の弾力性が弱くなりやすいなどの可能性が考えられます。
足底筋膜炎の改善方法
シューズの調整
足底筋膜炎を改善するためにはランニングシューズの調整が大切であり、クッション性がありミッドソールが厚く、踵が少し高いシューズを選ぶことが足底筋膜炎の改善や予防につながります。
クッション性が厚すぎると足部が不安定になり痛みが出やすくなることもあるため、快適な範囲内でのクッションがポイントになります。
具体的にどのようなシューズが良いのか?については次の記事に詳しく書かせていただいています。
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足底筋膜炎を防ぐためのランニングシューズとは?
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テーピング
足底筋膜炎の痛みを緩和するのにテーピングも効果があり、足裏にテンション強めのテーピングを貼ることが役立ちます。
というのも足底筋膜炎を抱えているケースでは足底筋膜の強度が不足していることが多々あるため、テーピングで補強することが役立ちます。
足底筋膜の強度を補うことが基本ですが、足部のバランスの乱れや機能低下に応じてテーピングにバリエーションを加えることも価値があるかと思います。
ストレッチ
足底筋膜炎の改善にはストレッチも効果があり、足裏やふくらはぎなどをストレッチで伸ばすことが役立ちます。
とはいえ過剰なストレッチやマッサージによって痛みが悪化するケースもあるので、やりすぎには注意して適度なストレッチを心がけることがポイントになります。
足の指のトレーニング
足底筋膜炎の改善には足の指のトレーニングも役立ちます5。
タオルギャザーと呼ばれる足の指のトレーニングは有名ですが、なかなか思うようにできないという人も少なくありません。
(Tourillon et al 2019)
他にも足の指でグーチョキパーの動きをするというのも、地味に難しかったりします。
こういった足の指のトレーニングは基本的なものであり、より強靭で強い身体を作り上げるためには難易度の高いトレーニングや幅広いバリエーションを取り入れることが大事になります。
まとめ
足底筋膜炎は過剰なランニングだけでなく、不適切なシューズやランニングフォーム、柔軟性や筋力不足なども原因になります。
足底筋膜炎の痛みの改善にはシューズの調整やテーピング、ストレッチやトレーニングなどが役立ちます。
<参考文献>
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